Day of beginning change

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
FC2 Blog Ranking
*Edit TB(-) | CO(-) 

「小説」
Innocence world

8話 ~In the place which doesn't know~2

長らく、というかテスト期間中に書いてしまった…


まぁ、書いたのなら挙げねば

といわけで、続きからGO!!


Back                                        Next


息苦しい空間を抜け、俺と近衛はとりあえず目に付いた出入り口から外へと出た。そこは日陰で、恐らく東側の出口から出たのだろう。前方のほうに、影の境界線上があることから、まだ太陽は傾ききっていないようだ。

(結構な時間、中に居たと思ったんだがな…まぁ、いいか…)

涼しくも希薄な微風が頬をなでていく。ゆっくりと空気を吸い込み、全身に酸素を送り込む。少しだけ、頭がすっきりしたように思えた。

「それにしても、疲れたね」

「あぁ」

近衛の言葉に俺も頷いて答えた。
表情は疲れているようにも見えるが、朱を帯びたその頬から察するに暑さにでもやられたのだろう。俺自身もまた、頬をたまに汗が伝い落ちるほどだった。

俺は携帯を開き、時刻を確認する。
液晶が映し出す時刻は3時を少し回ったところだった。
数秒して

天城あまぎ君…その、なにか…なにか、気にかかることでもあるの?」

不意の言葉だった。

「えっ…どうして?」

「天城君、今日ずっと携帯を気にしてて、それで何かあるのかなって、そう思って…」

「俺、そんなに見て―――」

気づくと、俺の右手には意味もなく開かれた携帯が握られていた。

「その……考え事とか悩み事とかあるのなら、私でよければ相談にでも……」

別に近衛は気にしなくていいよ、そう口にしようとしていた。けれど、その瞬間、何故か泣きそうな顔の近衛が脳裏をよぎった。そんな顔の近衛は見たくなかった。
なによりも
重なった。
俺は、また―――

「……んー、そうだな…近衛がそう言ってくれるのなら…」

俺はゆっくりとありのまま、胸の内を話した。

「実はな、少し前に大切な人を傷つけてしまったんだ。全部、俺が悪くてな。それで、今日会って話したいことがあるってその人から連絡があった」

「なんで、言ってくれなかったの? そしたら私に付き合わなくても…」

「そう言うと思ったし、そのことを知ったのは近衛と約束をした後だ。近衛との約束をふいにはできない」

「そんなの……わたし…」

近衛は顔をしかめた。
これは俺の我侭なのかもしれない。こんなことを言われて近衛がいい気分なわけない。けれど、俺には気取った言葉も気遣いの言葉も思いつかない。なにより、それを言う資格も…。

「すまない。こんなこと言って近衛を苦しめるつもりじゃなかった。ただ、俺はその、こういうことはあまり得意じゃなくて、気の利いた言葉とかは…」

(くそっ、こういう時に限ってなんで慎吾は…)

「ううん、大丈夫。天城君がぶっきらぼうなのは知ってるも。そんなことよりね、そのことを黙ってたことが哀しいの。言ってくれたら、私だって力になれたと思うし…」

「すまない」

「謝らないで。それよりも、大切な人が待ってるんじゃないの? こんなとこでぐずぐずしてないで、行ってきなよ」

「だけど、近衛が…」

「大丈夫だよ。今日は十分付き合ってもらったし、それに私は悲しそうな天城君の顔は嫌だから」

「すまない、近衛…」

「だから、謝らないでって。ほら、早く行かなきゃ、ね?」

「すま…」

続きを言いかけたとき、近衛が少しむすっとした顔になった。
俺は慌てて

「いや、ありがとう」

そう言い直し、その場を後にした。
近衛は笑ってくれていた。

(天城君の家って、確か大変だったよね。きっと、お父さんとケンカしちゃったんだろうから、仲直りしてほしいな)



高鳴る鼓動は息切れによるものだ。
全身が酸素を渇望していたが、そんなことは今はどうでもいい。
俺は校門をくぐり、校舎へと駆けた。

時刻を見る暇なんてなかったから正確には解らない。けれど、恐らくあれから一時間ほどは経っているはずだ。
紅く彩られたグラウンドを横切り、俺はあそこに向かう。
すでに体力は限界を超え、足が機械的に動くだけだった。

「はぁはぁ……なんだ、これ」

そこには一枚の紙切れが落ちていた。
意図的だろう、そう確信できた。
理由は簡単だ。
俺の名前が書いてるからだ。

ここはあの時、連れてこられた校舎裏。
たぶんだが、ここにわざわざ来る人は限られてくる。
だから、これはきっと俺へのもので間違いないだろう。

拾い上げ、裏を見てみる。

『3-5』

教室のことだろうか。
行ってみるしかないか。

俺は靴を履き替えもせずに校舎へと侵入した。今は校則とか常識とか、そういうのはどうでもよかった。そもそも、俺はいい子でない。上っ面、へこへこして周りに波風を立てないようにしているだけだ。
一気に階段を駆け上がり、本格的に膝が笑い始めてきた。
3-5の教室に踏み込む。
そこには、新たな指令が書かれていた。
黒板に大きな文字で

『体育館』

行かなければ…いけないか…。
履き替えないのは正解のようだった。
向かった先、体育館にはステージ中央に不自然に置かれたホワイトボード。
そこに同じように行き先が書かれていた。

『一棟二階の女子トイレ』

………そろそろ、さすがの俺も気持的に滅入ってきた。
いや、確かに現状況において、悪いのは俺なんだが…なんだろうか。
とはいえ、俺もバカじゃない。
そして俺は、二棟の階段を登り始めた。



「あれ、おかしいなぁ…現れないなぁ…」

「何処に誰がですか?」

「きゃっ…急に現れないでよ!」

驚いて振り返った先輩は、途端に眉を吊り上げ怒った。

「現れてほしいのでは?」

「そっ、そうよ。なんで、女子トイレに居ないのよ!」

場違いというか、なんというか…本来あるべき空気からずれているような気がするな。

「学校中を走り回りましたからね。かえで先輩が居そうな場所の目星ぐらい付けられますよ」

「楓って…」

「えっ、なにか」

「ううん!」

少し頬が緩んだように見えた。
俺は解説を続ける。

「そうですか。まず第一に俺の動きが把握できる場所。これは屋上以外にありませんよね。それだけでは、一棟の屋上なのか、二棟の屋上なのか分かりません。けれど、体育館の指令で分かりました。一棟のトイレが見えるのは二棟だけですから、楓先輩が居るのは二棟の屋上、というわけです。女子トイレなんかに入って、それこそ写真でも撮られたら嫌ですからね」

「さすがにそんなこと、しないわよ。それにしても、なんだかむかつくわ」

頬を軽く膨らませふてくされた様子をとる先輩。
不覚にも可愛いと思ってしまった俺は空気が読めないのだろうか。

「そんなこと言われても…」

「というか、聯君。遅いわっ!!」

「すいません。どうしても外せない用事があって…」

「なにしてたかなんて聞かないわ。私だって、時間の設定はしていなかったし、なにより今日だって言ったから今日一日は待ってるつもりでいたしね。そう考えてみたら案外、早く来てくれたって事になるのかしら」

「先輩…すごいですね」

素直に感嘆の辞を述べてしまった。

「まぁね」

素直に肯定されました。

「そうだ、楓先輩。話というのは…」

「ん? あぁ、そうだったそうだった。それがあって呼び出したんだった」

「そんな大事なこと忘れないでくださいよ」

「忘れてなんかいないわよ!」

夕日の所為であまりはっきりとは分からないが、恐らく頬は紅潮しているだろう。おまえけに耳まで朱に染まっているかもしれない。それほどの動揺の仕方である。

「はぁ…」

「信じてないわね!」

「それよりも」

「あぁ、危ない。また忘れるとこ……じゃなくて、話が脱線してしまったわ。そうね、お話があったのよ」

「それはやはり、あの時のことですか?」

「そうだけど、そうじゃないわ。私は考えたの、あの時、れん君の気持ちも考えずに行動してしまったことは悪かったなって。でも、それ以上に、きっと関係性に問題があったと思うの」

「はぁ、関係性ですか?」

話がよく分からない方向に進みそうな雰囲気があった。

「そう。私と聯君ってよく分からない関係じゃない。だからね、過ぎたことはもういいの。これから、また同じようなことが起きないために、その……関係をはっきりさせるとゆうか…」

急に歯切れが悪くなった。
いつかの近衛を連想させる様子だ。

「だからね」

「はい」

「この際、私たちの関係をより明確なものにしようと思うの!」

そうか、今日近衛には話せた。確かに、先輩との一件があったとはいえ、近衛には話せたのだ。そして、あの時、先輩には拒絶してしまった。この差はきっと、先輩の言うところの関係性の問題なのだろう。

「……なるほど、解りました」

「えっ、解ったってどういう……」

このまま不明確な関係性を保っても、また同じ過ちを繰り返してしまうのは目に見えている。
だからこそ、ここではっきりさせなくてはいけない。

「確かに俺もこのままじゃダメな気がします。俺は楓先輩と同じ気持ちです。自分からこういうこと言うのは初めてなんですが…楓先輩」

「えっ、ちょっと待って…その、心の準備ってゆうか……」

「俺と…」

「わー、えーえー。ちょ、聯君!?」

「友達になってもらえませんか」

「こちらこそよろしく…お願い…します? って、え? 友達?」

真剣な俺に対して、先輩のほうは何処か抜けた表情を取っている。
変なこと言っただろうかと、俺は一通り言った言葉を思い返してみたが、問題のあるような部分は見つからなかった。
依然として、動きを見せない先輩に俺は言葉を投げかける。

「あの…楓先輩、どうかしたんですか?」

俺の言葉に数秒後、盛大に反応した。

「れ…聯君のバカーーー!!!」

「なんで!?」

「もう知らない!」

訳が解らない。
混乱する脳内を鎮め、俺は理由を問う。というか、それしかできそうになかった。

「どうしたんですか、もしかして友達にはなってもらえない…」

「そういうわけじゃない! ただ、ちょっと、ちょっと期待しただけ」

依然として口調はきつかったが、言葉の終わりは少しだけ弱かった。

「もう帰る」

「………」

「なにしてるの?」

強い口調のまま、先輩はそう言った。

「なにって、その…特には」

「じゃあ、帰るの」

「あっはい。では、さよ…」

俺の別れの挨拶が紡がれる前に、先輩が割って入ってきた。

「聯君も一緒に。それで、今日のお詫びに甘いものをおごって!」

どうやら、これが和解の印らしい。
ならば、俺は喜んで答えてねば。

「解りました。好きなだけ、おごらせてもらいますよ」

「やったね」

まったく、最初から最後でよく解らない状態だった。
けれど、きっと、シリアスなムードを作られていたら、俺は耐えられずにただ謝ることしかできなかったかもしれない。
何も変えられず、ただ傷口に塩を塗りこみ、自らを鞭打つ形にしか。
それを理解してくれたのか、それとも天然なのか。
先輩はどうやら、俺の知らない人間だ。
そもそも、女性という生き物自体が俺にとっては不明慮な存在なのかもしれない。

そして、帰り道。
俺は一つだけ確認しておきたいことがあった。
あの、指令の意図だ。
俺への配慮か、天然か。

「楓先輩?」

「ん?」

「あの指示って、どういう意味があったんですか?」

「そうねぇ…」

俺は少なからず先輩に期待していた。

「暇だったから、かな」

脆くも期待は外れた。
結果、後者のようだ。
とゆうか、根本的に違うような気もするが…。

「だって、聯君は来ないし、かといって、帰ったら負けな気がするし」

「なんですか、負けって」

思わず苦笑してしまった。

「かっこよく時間を指定しなかった以上は、一日待ってないと……ほら、なんだか自分で決めた手前恥ずかしくて」

本当にこの人は…

「子供ですね、ホント」

「子供!? 聯君、私のほうが年上なのよ、分かってる!」

「分かってますって」

「わかってなーい!」






↓気に入ったらランクリしてもらえると嬉しいです


Back                                        Next


FC2 Blog Ranking
*Edit TB(0) | CO(2)

~ Comment ~


こんばんは、遠野です。
近衛さんが若干勘違いしてますね。
先輩のことを知らないから当然かもしれませんが、
知ったらどうなるんでしょうね……。

ぉお~、今後の展開が楽しみですwww
先輩とも仲直りできましたし。
#69[2010/07/03 17:46]  遠野秀一  URL 

Re: タイトルなし

こんばんわです。
少し返信送れちゃいました^^;


> 近衛さんが若干勘違いしてますね。
> 先輩のことを知らないから当然かもしれませんが、
> 知ったらどうなるんでしょうね……。
この知るタイミングは重要ですね
こればっかりは、よく考えないといけないと思ってます


> ぉお~、今後の展開が楽しみですwww
> 先輩とも仲直りできましたし。
楽しみです、その言葉が励みとなります
ありがとうございます☆
あぁ…皆が幸せならいいのになぁ…
#70[2010/07/04 20:59]  リュ~ク  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


Back      Next


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。