Day of beginning change

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「小説」
Innocence world

7話 ~Interplay and distortion~


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テレビに流れる映像は単調であった。
同じようなニュースが延々と流れている。当たり前と言えば、当たり前な話だ。
何故なら
合わせているチャンネルが、ニュースばかりのものなのだから。内容もせいぜい、政府の下らない法案がまとまったとかどうとか、そんな、自分には到底理解できない、いや理解しようとも思わないようなものばかりだ。
それもまぁ、平日の昼前ともなれば、同じ話題がループするのも仕方ないことなのかもしれない。

俺は現在、家でテレビを前に、ソファに体を預けていた。
テレビは付いているものの、意識はそれに向けられず、ただ宙に浮かんでいた。

今日は学校だ。
そして、今の時刻は11時17分。
結論からいって、俺はサボっていた。


そう言えば、小学生ぐらいのころ。
サボりはしなかったが、体が弱かったこともあり、休むことが多々あった。
休んだ日の午前中は決まって、教育番組に食い入るように目を向けていた記憶がある。
幼稚な怪獣の人形劇。
小学生には少し難しい算数の番組。
生き物の生態を解りやすく解説したもの。
何故、見たいたかは自分自身でも解らない。
別段、その怪獣の人形劇が面白いわけでも、算数が得意でもなければ、生き物が好きというわけでもなかった。なのに、休んだ日の午前中は必ず、それらを見ていた。
風邪をひいていれば、鼻をすすりながら、頭に冷却シートを張り、布団に包まりながら。
それらの番組。
今でもやっているのだろうか、そんな気持ちが一瞬頭をよぎったが、リモコンが少し離れた場所にあり、手が届かないと分かるや否や、そんな考えは霧消した。

ふと頭を後ろに向けた。
そこには白い天井があった。
30秒ほど眺めて、また視線を前に戻した。
テレビは依然として、同じような報道を続けていた。
俺はそんなことを起きてから、何回も繰り返していた。
そんなことではない、こんなことしかできないのだ。
ずっと、心がもやもやしている。

昨日からだ。

学校には行きづらい。
先輩が居るからというのが理由ではない。そう言えば、嘘になる。
昨日、あんな態度を取ってしまった手前、顔を合わせづらい。
きっと、先輩は俺のことなんか眼中にも無いのだろうけど、いや、少し前の俺もそうだった。
互いに意識せず、視界に入っていても歯牙にもかけなかっただろう。
それは景色の一部としてしか捉えなかった。
だけど
此処最近、妙な距離となって、今、学校で会えば変に意識してしまう。
ただ、視界に入るだけでも、きっと耐えられない。
だから、俺はまた逃げて隠れた。
このまま放っておけば、いつかその内に記憶の端に堆積されだろう。そうすれば、また前と同じような感じに戻れる。そう思い、俺は自分に言い訳をした。
自己否定。
そう考えるたびに走る、胸の辺りのチクリとした痛みが何のかも知ろうとせずに…。

知りたくもない、胸の痛みを無視するため、俺はそっと目を閉じた。
今の俺には寝て、何もかもを忘れ、そして“向こう”へ行くことだけが唯一、出来ることだった。




  何故か、母さんはいつもより遠くに居た。

どうして、母さん
そんなところに居るんだよ…

少しずつ歩み寄っても、母さんとの距離は縮まらない。
もともと、無地で真っ白の場所なのだ、距離感覚というものが正常じゃない。
けれども
母さんがずっと小さいままなのだ。
それどころか
少しずつ、更に小さくなっているようにも感じれた。
妙な焦燥感が駆け巡った。

ねぇ、母さん。
待ってよ。
行かないでくれよ。

ついには走り出していた。
足が酷く重く、息も異様に切れた。
肺が潰れてしまいそうになった時。
不意に
足元が歪んだ。
真っ白な床が波打ち、まるで白い絵の具をこぼしたような。
完全な液状へと変貌した床は、俺の脚を飲み込んだ。
そう思ったときには、浮遊感に襲われ、真っ白な床に沈んでいた。

沈みゆく刹那。
母さんの表情は霞み、見ることは叶わなかった。

………

……





ぶはっ!!
鼻腔に入ったお湯を一気に吐き出す。
同時に口いっぱいに飽和状態の湿気た空気をかきこむ。
俺の息遣いと共に、微かな水の滴る音がそこには充満していた。
浴室。
どうやら、湯船に使っている間に寝てしまっていたらしい。
いつの間に風呂に入っていたかも覚えていない。
たしか…
気分を紛らわすために、少しシャワーでも浴びようと思ったとこまでは覚えている。
でも、なんで、湯船にまで使っているのかは記憶に無かった。
それほどまでに、俺は困窮していたのかもしれない。

「……ふう」

そっと息を吐いた。
未だに心臓は速めに鼓動を打っているが、ある程度は落ち着いた。
恐らく、情報番組か何かを見て、湯船に使っていると云々とやっていたのかもしれない。
だから、俺はバカみたいに溺れそうになったのだ。
そう内心で毒づいてみたものの、何故だか逆に空しさが込み上げてきた。
そして俺はもう少しだけ浸かっていたい気分になり、そっと肩を水中へと沈めた。



居間の机の上。
携帯が鳴り響き、そのディスプレイに映し出されたのは“天城先輩”という文字だった。
暫く鳴り響いた携帯は、ぷつんと鳴り止み、一つの伝言を内に宿した。
この時、この事に俺は気づかなかった。



翌日、授業の大半がクラス移動を介さないものばかりだったこともあり、依然として重い足取りながらも学校に行った。
相馬が茶化しに来たが、手短にあしらっておいた。慎吾はいつもと変わらない様子で、着かず離れずを保っていた。たぶん、慎吾の距離が今は一番ありがたかった。
なるべく、クラスの外には出ないようにし、なんとか下校時間。
例によって、“彼女”は帰ることが出来るのに時間が掛かると踏んだ俺は、待つのではなく先に帰るという選択肢をした。

「聯。今日、慎吾と図書館に行くんだが、一緒にどうだ?」

相馬からの誘いであったが、今日は断っておいた。
暫くは、一人でゆっくりとしたかった。
帰る折、慎吾がそっと、つぶやいていった。

「聯。元気がないのなら、気分転換なりしておけ。別に俺たちとどうとかは言わないが、少しは新しい刺激でも与えてみろ。じゃあな」

「あぁ…」

歩いていく2人の後姿を見ながら、慎吾の言った言葉の意図を理解しようとした。
けれど、慎吾の言うことだ。きっとまた小説か何かの受け売りだろうと、軽く流すことにした。
そして、俺は足早に帰路へとつく。
校門を抜け、帰り道である左へと曲がる。
歩幅を広くしようとした時、不意に背後から声がした。とても小さな声だ。かろうじて、自分の名前が呼ばれていることだけは確認できた。
立ち止まり振り返ると、そこには近衛と見知らぬ女生徒が居た。近衛の隣の女生徒も、俺や近衛と同じ制服というところから見ると友人だろうか。暫く立ち止まっていると、隣の女生徒が口を開いた。

「へぇ~、これがアノ天城あまぎ君ねぇ…」

何処かで聞いたような台詞だった。

「こんな呆けた顔の男のどこが…」

続けてそう言った。
途端に近衛が慌てた様子で、友人だろう彼女に何やら詰め寄っている。
これまた、何処かで見たような光景だった。

「えーっと、近衛?」

俺の呼びかけに、我に返ったようにこちらを振り向く。だが、顔は俯いてしまっている。
そして、震えた小さな声で、そのとか、あのねなどと呟いている。
本題に入れそうにないと思った俺は、自ら口火を切ることにした。

「俺になんか用でもあるのか?」

「えっ!! いや、その…そうなんだけど………」

どうにも歯切れが悪かった。
俺としてはできればこの場に長く留まることは芳しくない。

「あー、もう! ダメだなぁ」

どうやら、先に痺れを切らしたのは、近衛の友人のようだった。

「えーっと、天城君だっけ? あんた、美咲と約束したこと覚えてる?」

「約束…?」

はて、なんのことだったか…。

「ほらね、男っていうのはこういう生き物なんだよ、わかった?」

よくは分からないが、馬鹿にされているということだけは伺えた。
しかも、男の代表例にされてしまっている。

「で、天城君さぁ。美咲とデートする約束したのホントに覚えてないの?」

「デート…?」

「わぁ! ちょっと、そんなこと言ってないよぉ!」

「同じようなもんでしょ?」

「ちっちがうよ……たぶん」

約束…約束……あぁ、たしか例のアドバイスのお礼のことか。

「あぁ、わりい。近衛、たしかお礼をしてやるんだったよな?」

「うっうん。それで、電話でもよかったんだけど、たまたま天城君の姿が見えたから…」

「見えたって…お前のほうが授業は早く終わってたんじゃ?」

「こりゃダメだわ」

友人が意図不明な言葉を口にしたが、そこは無視しておく。
近衛のほうは心なしか少し表情が和らいだように見えた。
まぁ、それが用件ともなれば話は早い。

「そうだな…女子ってのは、どうやったら喜ぶもんなのか、いまいち分からないんだが、近衛に何か要望はあるか?」

「えっ! ……その、なんというか」

「?」

「そのね、おっ…」

「お?」

「おかいものにつきあってくだひゃい!!」

盛大に噛んでいた。

「おーおー、よく言えた。えらいえらい。もうちょっとで満点だったね」

友人が近衛の頭を撫で、近衛は近衛で耳まで赤くしている。

「近衛」

「ひゃい!」

また噛んでいた。
それは置いておいて。

「買い物に付き合えばいいんだよな?」

「…うん」

「それぐらいなら大丈夫だ」

「ホントに!?」

「あぁ、お礼なんだから」

「お礼か…」

「どうかしたか?」

「ううん、なんでもないよ。それじゃ、行く日取りだけど…」

「あっ、悪い。俺少し急いでるんだ。決まったら連絡をもらえないか?」

「全然、こっちこそ急にごめんね。それで…連絡ってことは電話、してもいいの?」

「なんでだ? それ以外に何がって…あぁ、別にメールでもいいがめんどくさくないか?」

「大丈夫大丈夫、全然電話したいよ!」

「そこまで言うなら…」

近衛は何故かまたも耳を赤く染めていた。
今日の近衛はなんだか変な気がした。どことなく声も上擦って、態度がたどたどしい。
体調でも悪いのだろうか。

「近衛、体調でも悪いのか?」

「えっ、そんなことないよ」

と、そこで黙りこくっていた友人が間に入ってきた。

「まぁ、ある意味では病に罹ってはいるよねぇ」

すごくにやにやしている。
片や近衛は友人に詰め寄っている。更に頬の赤みが濃さを増しているような気がした。

「なんか病気というか、体調が悪いなら買い物も控えたほうがいいんじゃないのか?」

「全く、これは重症だわ」

答えたのは友人だった。

「重症なのか!?」

「あはは、気にしないで気に。いっつもふざけたこと言ってるから、ね?」

「冗談なら、いいんだが…」

口を押さえられた友人は不満そうな顔で近衛を見ていた。
その視線は時折、俺のほうにも向けられたが、意図は計り知れなかった。

「それじゃ、近衛」

「うん、ばいばい」

俺はその場を後にした。



夜、近衛から連絡がきた。
内容は今度の日曜日に隣町のショッピングモールに買い物、ということだ。
ちょうど、俺も予定が空いていて(たいてい)すぐに了承した。
きっと、慎吾があの時に言った言葉はこういうことなのだろう。そう、自己完結をしておいた。
しかしながら、電話の最中、何度も声のボリュームがミュートする近衛との会話は、前後のワードを繋げて解読しなければいけなかった。少し骨が折れたが、近衛へのお礼なのだ。そんなことを言っていられる立場ではない。
お礼とはいえ、少しばかり乗り気ではない。
元来、女子と共に行動することが皆無な俺としては2人きりというのは結構堪える。
近衛のような絵に描いたような可愛らしい女の子とはあまり触れ合わない。
あの時は…いや、なんでもない。考えるのはよそう。

電話を切り、ふと画面に浮かぶ留守電マークに目がいった。
いつのまに?
俺はすぐに留守電の内容を聞いた。
そこには
優しげで控えめな声が、一つのメッセージを口にしていた。

『あのね、この前のこと謝りたくて、それで厚かましいのだけど直接、お話したいの。今週の日曜日に学校で待ってます』

ピー
メッセージの終わりを告げる無情な音と共に俺は、時間だけが過ぎていく画面から目が離せなかった。





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いやぁ~

ちょう久々な更新☆

見てみたら2週間ちょいぶり



見てくれてる人が居る以上は
ここで一つ

遅れまして申し訳ない


というわけで

どうぞ/
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~ Comment ~


いや~続きが気になります!!

こういう甘酸っぱいのを読むのは村山先生の『おいしいコーヒーの入れ方』以来なんで、なんか背中がむずかゆくなります(●´ω`●)←

しかし遊園地の先輩・・・かわいすぎですwww
#53[2010/06/01 02:26]  よしたけりんか  URL 

Re: タイトルなし

> いや~続きが気になります!!

ありがとうございます☆
そう言って貰えると元気がちょー出ますw
更新は遅めですが、ご了承のほどを


> こういう甘酸っぱいのを読むのは村山先生の『おいしいコーヒーの入れ方』以来なんで、なんか背中がむずかゆくなります(●´ω`●)←

村山先生は自分も知っています
まだ、作品には目を通していませんが
一度、読んでみようと思います


> しかし遊園地の先輩・・・かわいすぎですwww

書いている自分もにやけてしまいますww
#54[2010/06/01 21:59]  リュ~ク  URL 

こんばんは、遠野です。

ついに幼馴染のターンが……
と見せかけて先輩の反撃がwww

まぁ、でもいいです。
素直にメインを応援できないヒネクレ者なんで、
幼馴染がんばれーでいきますw
#61[2010/06/19 17:57]  遠野秀一  URL 

Re: タイトルなし

> ついに幼馴染のターンが……
> と見せかけて先輩の反撃がwww
すんなりと主人公には進ませんよw

> まぁ、でもいいです。
> 素直にメインを応援できないヒネクレ者なんで、
> 幼馴染がんばれーでいきますw
近衛こと幼馴染は可愛いw
てか、幼馴染って幻想だと思いますw
#65[2010/06/19 23:49]  リュ~ク  URL 

主人公はもっと自分に自信を持った方がいいかと・・・・・・。
あそこまで冷たい継母は普通いないし、お礼に(自分から)デートを申し込む先輩もちょっと変ってるし、戸惑いがあるのは自然だと思います。
なんでこんなに思い悩むんだろう・・・・・・。
#120[2011/02/05 05:23]  通りすがりの人  URL 

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。


> 主人公はもっと自分に自信を持った方がいいかと・・・・・・。
聯君は優しい。けれど、その優しさを他者に向けた時、それが正しいのかどうか疑心暗鬼になってしまうのです。

> あそこまで冷たい継母は普通いないし、お礼に(自分から)デートを申し込む先輩もちょっと変ってるし、戸惑いがあるのは自然だと思います。
> なんでこんなに思い悩むんだろう・・・・・・。
それは、彼が思春期を母親が居ないで育ったからというのが、大きな要因だと思います。

意見のほう、いろいろと参考になりました。
よろしければ、ぜひまたお越しください☆
#121[2011/02/06 11:25]  リュ~ク  URL 














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